更に数日後、生命を維持するのに必要な栄養分を投与できる環境であれば、庵を退院させても差し支えがない、との結論を京は医師から伝えられた。これ以上医療機関に任せておいても今と状況が変わる可能性は低いだろう、という判断も併せて告げられ、彼は庵を大阪にある草薙の本邸にひきとる途を選択する。事情は既に家中(かちゅう)に知らせてあった。かつて医師であった京の母親・静が、庵の世話をすることについても、彼女からの了承を取り付け済みだ。
そうして、退院の手続きまでを手伝ってから紅丸が病院を後にし、搬送される庵と共に京もまた、東京にある自分のアパートへは戻らず、何カ月ぶりかで実家に腰を落ち着けた。
庵は、毎日決められた時間に点滴を受ける。彼は注射針を刺すときですら、ピクリとも反応しなかった。痛覚も触覚も、それ以外のすべての感覚が低下しているのか麻痺しているのか、ともかく通常の状態でないことだけは確かだ。
夜になると、彼は離れにある京の部屋に運ばれた。一日24時間、静ひとりに世話をさせるのはさすがに気が引けて、夜間だけは京が面倒をみることにしたのだ。とはいえ、庵は自ら寝返りを打つことをするので、床擦れを心配して定期的に姿勢を変えてやる必要がなく、母屋からの移動前に静が排泄の世話を済ませてさえいれば、京が手を煩わされることはなかった。
それでも静まった部屋の中に庵とふたりだけでいると、時折京は不安な気持ちに苛まれた。呼吸をしていないのではないかと疑ってしまうほど、庵の眠りが静かなせいだ。おまけに、日中、静が気を遣ってなるべく陽に当たるよう工夫してはいるものの、元々白い部類に入っていた庵の肌は、今では青白いと形容するほうが相応しいほどで、見ていると、ますます死人と共にいるような錯覚に陥らされる。
以前から血色の良い方ではなかった。いつ見ても、その皮膚の下に本当に血管が存在するのか疑わしくなるような顔色だった。冗談交じりに、大蛇の血は赤くないんじゃないかと、そんなことを言って京は彼を揶揄ったりもした。その髪の色も手伝ってか、日本人ではないという印象を受ける者が少なくなかったことも思い出す。
庵にまつわる記憶をあれこれと掘り起こしながら日中を過ごし、京は夜中に目を覚ますたび、彼が呼吸していることを、その鼻孔に手をかざして確かめずにはいられない。
自分と同じ日本人とは思えないほど色素の薄い庵の瞳の色。彼の存在を際立たせ、彼を差別化する要素のひとつにもなっていたその瞳を、京はもう数週間ものあいだ見ていなかった。怨念を込めて睨み付けてくるその双眸を煩わしく思っていた筈なのに、なぜか今はそれすらも懐かしい。庵のあの瞳が自分の姿しか追わないことを、もしかしたら、京は心のどこかで快く思っていたのかも知れなかった。
眠り続ける庵の体力は徐々に低下している。このままいつまでも目を覚まさないようであれば、いくら栄養分を補い続けても、確実に庵の身に死は訪れる。衰弱死という名のそれが。
静からそのことを聞かされた京は、ついに決心した。庵の身体を流れる大蛇の血が草薙の氣に反応してくれれば、そうすればきっと庵は目覚める。ならば、すべきことはただひとつ。京は覚悟を決めた。
そのとき、
『しあわせ、なのかな』
『⋯⋯たぶんね』
以前、病室で紅丸と交わした会話が京の耳に蘇った。
もしあのときの想像が真実なら、この眠りを覚まさせることは庵を不幸にするということなのだろうか。彼の幸福を奪うことになるのだろうか。
いや。
そんなこと、あって良い筈はない。
「第一俺は殺人犯になんかなりたくねえし」
――こんな惨(むご)い遣り方で⋯⋯。
でも、この方法しか自分には思いつけないのだ。
「いいよな、八神。おまえも俺に酷いこと、させようとしたんだもんな?」
言い訳になるのかも解らない気休めを口にしながら、京は上着を脱ぎ捨て、そして精神を集中し、静かに氣を高めていく。
京の身体の周囲で、いつしか空気が陽炎のように揺れ始め、草薙の紅い炎を身に纏ったその躯で、男は庵の身体にゆっくりと覆い被さった。
その眠りは穏やかだった。深くて暖かで安心できる闇の中はとても居心地がよく、だからずっとこうしていたいと願った。
闇はいつでも自分に優しい。
だから、いつまでもこうしていようと思う。羊水に浸って狭く小さな宇宙を漂っていた頃。そのときの記憶が己に残っている筈もないが、今のこの状況はそれに類似しているのかも知れない。これ以上安全な場所はなく、そこでしか生きられない、ここは絶対無二の世界。この世界の中で誰にも見つけられずに眠っていたい。いつまでも、ここでこうしていられたら⋯⋯。二度と目覚めなくて、構わない。
――?
不意に、何かが自分を包み込み始めたことに気付いた。それはひどく懐かしく、それでいて身体中の血を必要以上にざわめかせる氣だ。明確な意識のないままだった自分に、何かが働きかけようとしている。
声が、聞こえる。
目を覚ませ、意識を覚醒させろ、と。
放っておいて欲しいのに。
気分がいいのだ。だから、このまま何かに流されて漂っていたい。そんなふうに触らないで欲しい。
――やめてくれ。
小さくまるく身体を縮こまらせ、少しでも触れられる箇所を隠し、減らそうと試みる。それでも蠢く気配は一向に消えてくれず、それどころか、ますます強引に近づき、拒むことも逃げることも出来ないでいるうちに、とうとうそれは内部にまで滑り込んできた。
何を探しているというのか。
――あ⋯⋯。
その氣は執拗に体内を侵食してくる。触れて欲しくない奥深い部分にまで無遠慮に侵入して、所かまわず撫でるように探っている。
――嫌だ⋯⋯。
伸びてくる腕を、その指先を、振り払いたくてもがく。
――駄目、だ⋯⋯。
触れられてはならない場所を探り当てられ、閉ざされていた意識の殻に細かく亀裂が生じていく。ピキピキと、卵の殻が内側からひび割れるように、何かが音を発てて壊れだす。
――駄目だ⋯⋯。
浅い眠りに漂っていた意識がとうとう剥き出しにされ、外気に曝されて、激しく震え始めた。
――やめろ⋯⋯。
音にならない言葉が、庵の唇を動かした。
「あ⋯⋯」
初めて空気を震わせた言葉は、意味をなさない音。けれどその音声(こえ)に、京は反応した。
「八神?」
胸元にうずめていた顔を上げて、再び『やめろ』と音無き言葉を綴った庵の唇を見留め、
「やがみ」
今度は明確な意志をもって呼びかける。
目を覚ませ。
その眼を開けろ。
「八神」
「う⋯⋯」
低く呻いて、焦点を結ばない双眸が、それでもうっすらと開かれていく。
琥珀色の小さな虹彩。あの日を境に、一度も眼にすることができなかった懐かしい色だ。それは京が焦がれた瞳の色。それが今、目の前にある。
「やっと⋯⋯」
――起きやがったか。
安堵の吐息に庵は気付いているだろうか。
覗き込む男の視線を感じたのか、揺れていた庵の双眸が焦点を結ぶ。
「きょ⋯⋯う⋯⋯?」
自分の身に何が起きているのかすぐには解らないようで、ぼんやりと京の顔を見返していた男の身体が、不意に大きく震えた。
「!?」
現実世界から切り離されていた触覚と知覚とが、ここで完全に戻って来たらしい。
「⋯⋯な⋯⋯んの、真似だ⋯⋯ッ」
京ッ、と引き攣れた声を迸らせ、けれど身じろぐことは適わず、自由になる腕だけが闇雲に虚空(くう)を泳ぐ。
喉から絞り出されるような声で、
「やめ、⋯⋯ろ⋯⋯っ」
京の行為を制そうとする庵に、だが男は無情ともいえる言葉を吐いた。
「ここまで来てッ、途中でやめらんねえよ⋯⋯」
「あぁぁぁぁっ」
地に響くような絶叫。漆黒の闇を切り裂くように尾を引く長い苦鳴は母屋にまで届いたかもしれない。それでも京は怯むことも躊躇うこともなく、行為を続ける。
「あ⋯⋯あ⋯⋯」
再び焦点をなくし見開かれた庵の切れ長の瞳から涙が溢れ、途切れることなく両顳(こめかみ)へと伝い落ちていく。声は咽ぶように途切れ途切れに零れ、ついさっきまで京を押しのけようとしていた腕が、今は縋るものを求めシーツを握り締めていた。
いつしか庵はきつく目蓋を伏せ、更にそれだけでは足りないというように片腕を持ち上げ、その顔を覆い隠す。段階を踏まず、いきなり怒涛のごとく押し寄せた荒波に神経が悲鳴を上げていた。
――快楽など、自分ひとりで追えばいいものを⋯⋯ッ。
京の手で、庵の身体は愉悦の淵に叩き落とされる。
だが、何週間ものあいだ寝たきりだった彼の体力がその行為についていける筈もなく、男の意識は次第に朦朧としてくる。京の声が遠くなり、感覚も鈍くなってゆく。思考が混濁して、もう何も解らない。
顔を覆っていた庵の腕が力を失い、頭上のシーツの波へと滑り落ちた。
「八神⋯⋯?」
「――――」
庵は再び眠りの海に沈んだ。ただし今度は、体力の回復のために。
「やっと終わりにできると思ったのにな⋯⋯」
それが、二日後の夜にようやく目覚めた庵の第一声。その台詞を側で聞いていた京は、このときは庵の言葉の意味について敢えて追及せず、
「訊きたいことは山程あンだけどよ、それより今はおまえの身体治すことのほうが先決だからな」
それは後にしといてやるよ、と人の悪い笑みで庵を見下ろしただけだった。
それほどに庵の体力は低下していたのである。彼が自力で行えたのは、辛うじて上半身を起こすこと。支えなしには立ち上がることさえままならなかった。筋力が低下してしまっているのだ。何週間ものあいだ昏々と眠り続けていた、当然の帰結である。
数日後、庵が目覚めたことを京から知らされて、紅丸と大門がそろって見舞いに訪れた。彼らは疲れた様子も見せず、殊、紅丸は出迎えに現れた京を即座に捕まえ、
「どーやって起こしたんだ。あれだけ叩こうが何しようが目ぇ覚まさなかったのにさ」
さっそく疑問をぶつけてくる。
「んー⋯⋯、ちょっとな」
思い当たることがあってさ、と苦笑いで茶を濁し、京は昼間庵が過ごしている母屋の和室へとふたりを案内する。
庵は布団の上に長座していた。枕をあてがった柱に背中を凭せかけ、腿のあたりまで毛布を引き上げた恰好で、寝間着がわりの浴衣を着ている。彼は部屋の中へ入ってきた三人を一瞥し、何も言わぬまま視線をあらぬ方向へ投げてしまう。それは明らかに干渉を拒絶する仕種だった。
が、そんな庵の態度には頓着せず、
「思ったより元気そうじゃん」
紅丸は明るくそう言って、用意されていた座布団の上に胡座をかいた。その隣に大門もゆったりと腰をおろす。京だけは部屋の入口に、障子の枠の背に上体を預けて立った。
「どうよ、具合の方は。もう一日中起きてられんの」
紅丸の問いかけに反応しない庵に代わって、
「まだ寝てる時間の方が長げぇよ。それでも自力で動き回れるようになっただけ随分マシだけどな。手間が掛かんなくなったからさ」
面倒をみるのが嫌なのだと言いたげな口ぶりで、京が答える。
「ふーん」
紅丸は何やら気持ちのこもらない相槌を打ち、続いて、
「なあ、八神。話してくれよ。おまえ、一体何をどうするつもりだったんだ?」
と、いきなり核心をつく質問を庵に投げた。
しかし、庵の方は表情も動かさない。
「あれだけの大事(だいじ)を自分から引き起こしといて、いまさら黙んまりもないんじゃない?」
尚も詰問すると、庵の視線が、部屋の中を見るともなく彷徨った。やがてそれは彼自身の足元に止どまる。そして、
「訊かずとも判っているのだろう」
ようやく発せられた彼の声には抑揚がなかった。
紅丸は言う。
「ちゃんと、八神本人の口から説明して欲しいんだよ、俺は」
そうでなければ、納得がいかない。あんな訳の解らない騒ぎに巻き込まれた身としては。紅丸の傍らにいる大門もまた、静かに頷くことで賛同の意を表(ひょう)した。
実のところ、彼らふたりだけではなく、それは京にしてみても一度はっきりとさせておいて貰いたいことだった。庵が目覚めてからの数日間、彼とサシで向かい合うのがどうにも煩わしく、今までわざと訊くことを避けていただけなのだ。
「茶番をな」
と、庵が言った。
「終わりにしようと思っただけだ」
平淡な声。
「俺が京に殺されれば、総てのことに終止符が打てる」
「なんでだよ? おまえは草薙一族を恨んでるんじゃなかったのか? 京のことだって、殺す殺すって、ずっと言ってただろ?」
なのに、庵が死ぬことで、どうしてすべてが片付くのか。
紅丸の疑問に、庵は更に詳しく答えた。
「⋯⋯恨んでいるさ。だから、その手に掛けさせようとしたんだ」
草薙の一族に消えない罪を背負わせる。その歴史に汚点を残させる。己の命と引き換えに、『草薙』を汚(けが)す――。
どう考えても天秤が釣り合うとは思えないことを、だが庵は平然と口にした。『八神』にとっては、さもそれが普通の感覚なのだというように。
「『草薙』に一生後悔させ続けてやりたかったのさ。それで『八神』の気も晴れる」
納得がいかないらしい三人の様子を見、庵は更に言い加えた。
「考えてもみろ。『草薙』を屠るということは、京ひとりを殺して済む話ではない。一族郎党を皆殺しにするということだぞ。常識的に考えて、それが可能か不可能か、貴様らには判らんか」
草薙一族の血の継承は、八神一族のそれとは違い、跡継ぎが生まれても先代がその力を失うようなことはない。因って、一族の多くの者が、強弱の差こそあれどその力を保有しているのである。
「そりゃあ⋯⋯まあ⋯⋯、まず無理、か」
全くの不可能という訳でもないのだろうが、かと言って簡単になせることでもなさそうだ。三人を代表する形で、紅丸が歯切れ悪くそう応じた。
「だから京に俺を殺させて、『草薙』に罪を与えることをその代償にしようとしたんだ」
そうは言われても、やはり、はいそうですか、と素直に頷ける話ではない。
紅丸は、消化不良を起こしたような釈然としない貌をしている。表情の変化に乏しい大門も、腹の中では同じ気分を味わっていることだろう。
「去年までマジで京のこと殺そうとしてたくせに、なんでいきなり180度転換しちまえるんだ?」
紅丸の疑問は当然だ。
「目的は同じさ」
「おなじ?」
「京を本気にさせて俺を殺させるか、こちらが手を抜いて殺されてやるか。違うのは方法だけだろう? 目的は変わらない」
庵は言葉を重ねる。
「二年待ってやった。京が本気になるのをな。手加減されて勝利しても嬉しくはないだろうと気遣ってやっていたのさ。寛大だろう? だが我に返った。『草薙』が本気を出したところで『八神』より強い筈がない。迂闊だったよ。危うく俺は、闘う前から自分の負けを認めていると、世間に宣言するところだった訳だ」
だから、と庵が言いかけた言葉の続きを、紅丸が引き取った。
「おまえは手を抜いて京と勝負することにした」
「そうだ。俺が死ぬということは、『草薙』を屠る力を持つ者が八神一族の中から消えるということでもある。『八神』の恨みを晴らし、尚且つ大蛇の血を遺さない。そのふたつが揃って初めて、完全に茶番の幕が引ける」
ただ庵が死ぬだけでは駄目なのだ。庵が死ぬ、つまり『草薙』を屠る力を持つ者が一族の中から消える、それだけでは『八神』にとっての茶番は終わらない。なぜなら、怨恨を残したままである以上、たとえ庵が子孫を残さず逝ったとしても、改めて大蛇と血の盟約を結ぼうとする輩が現れるに決まっているからだ。
だが、京に庵を殺させることが出来れば、『草薙』への復讐と大蛇の血の消滅、その両方が同時に叶う。
復讐さえ叶ってしまえば、宿主の命をただ削るだけの厄介な大蛇の血は、『八神』にとって不要なものだ。大蛇と再契約を結ぼうなどと考えることもないだろう。
「手っ取り早くまとめて一遍にコトを済ませるつもりだった、と。要はそういうこと?」
「そうだ」
「⋯⋯ところがどっこい、そうは問屋が卸さなかった。蓋を開けてみりゃ八神(おまえ)は生きてる」
紅丸が言う通り、京が犯罪者になり下がることはなく、また、大蛇の血も消滅していない。
庵は頷き、
「腑抜けた京の技には、俺を殺すだけの力がなかったのだろう。どうやら『八神』は『草薙』を買いかぶり過ぎていたらしいな」
皮肉たっぷりに言い放った。
紅丸は苦笑して、
「で、八神はこれからどうすんの。手の内明かしちまった以上、もうおんなじ手は通用しないぜ? 『草薙』に対する恨み晴らすの、諦める?」
そう尋ねる。
「それは『八神』に訊いてくれ。俺の使命はこれで終わりだ」
「使命が、終わり⋯⋯?」
「『草薙』に俺を殺させてやる、ということだ。二階堂、おまえの言うようにそれはもう望めまい。京が二度も同じ手にひっかかる程の、正真正銘の馬鹿でなければの話だがな」
流石にそこまで間抜けではないだろう、と庵はまるで本人がこの場にいないかのような態度で京をこき下ろす。
「『八神』が一度くらいの失敗で復讐を諦める筈はない。また別の手段を以て『草薙』を貶めようとするだろうさ。だが、それは次の当主の仕事だ。俺には関係がない。誰が俺の後釜になるのかにも興味はないしな」
「じゃあもう京には関わらないって?」
「ああ。こんな腑抜けた男にこれ以上用はない。『八神』の総意に従ってやるのも、今回のことで最後だ。俺はやるべきことをやった。結果がどうであれ、な。だからこれからは、自分の好きにさせて貰うさ」
これ以上話すことは何もない、と庵は三人の男たちから目線をはずした。
入口の障子に凭れていた京が、ここでようやく身じろいだ。軽く反動をつけて木枠から背をひき剥がし、庵の側へと歩み寄る。そして、眇めた眼で男を見下ろした。
「狂ってるぜ、八神」
一族の恨みを晴らすためだけに、自らの命を差し出そうとしただなんて。
庵は京の顔を見ない。
彼には解っていた。自分たち八神一族は、この男に、そして世間に、狂っていると思って欲しかったからこそ――。
「⋯⋯⋯⋯」
これをこそ、狂言というのだろう、きっと。
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