リーグがウィンターブレイクに入るや否や、俺・赤崎遼は出来る限り早い航空便のチケットを取り日本へと帰国した。いとしいあの人に一刻も早く会いたかったからだ。
俺と堀田さんは前シーンのオフに同性婚の認められた某国で式を上げた。けれど海外の某リーグに所属している俺と、いまも日本で現役選手を続けている堀田さんとはいわゆる別居婚状態にあった。リーグが別々になることが決まっていたからこそ挙式を急いだのだけれど、電話では毎日話していても会えない日々はやっぱり辛かった。
飛行機が成田に着いたことは知らせておいた。空港からタクシーを飛ばし、いまは堀田さんひとりが暮らしているマンションへ。
「健二さん、ただいま!」
「おかえり、りょ⋯⋯!?」
玄関のドアを開け、ボストンバッグを床に落とした俺は、出迎えに出て来たいとしい人を抱きしめる。
「遼、お疲れ」
「うん」
ぎゅうぎゅうと腕の力を緩めることなくしがみついて、あたたかく確かなその質量に存在を実感する。
「メシまだだよな?」
「うん」
「じゃあ、メシと風呂、どっち先にする?」
「そんなの⋯⋯」
そんなの決まってる。
「まずはあんたを食わせてよ」
2012.01.15 脱稿
・2012.02.19開催 浅草トライアンフ 4th発行 堀田受10カプ以上アンソロジー『honey bee happy』のコメントページ用SS。