臀部をくすぐる下生えの感触に、限界まで飲み込んだことを知る。
とたん、鼻孔に抜けた己の声は常にない艶を滲ませた嬌声で、居たたまれなさに逃げ出したくなるのに腰を引くすべはなく、叶ったのは顔を背け、片頬を強く枕に押し付けることだけだった。
「ドリさん⋯⋯」
降り注ぐ男の声は濡れた熱を孕み、彼に向け晒してしまった耳殻からも緑川を侵蝕しようとするかのようだ。
「つらくないか?」
いくら柔軟さが自慢のキーパーとは云え、無理な姿勢を強いられているのは間違いない。けれど顔を見たがったのは、そうして気遣う素振りをみせる村越自身である。
「だいじょう、ぶ⋯⋯だ」
だから、そんなふうに心配しなくていい。
どうにか笑んで見せたのに、村越は首を振った。
「どうだか、な」
あんた嘘(フェイク)は得意だし。
守護神の演技力には騙されるから、と苦い顔で笑い、
「けど⋯⋯」
もう我慢の限界、だ、と。
「⋯⋯っ!」
遠慮会釈なく揺すり上げられ、飲む息が足りずに熟れた声が溢れ出す。
あとはもう。
気を失う寸前の白い世界へ連れ去られるだけ。
2012.03.04 終/2018.11.05 微修正