はぁとなせにゃか



 今日は朝からいいお天気にゃ。秋晴れってヤツだにゃ。
 陽気につられてみにゅっみにゅっと腰をふりふり川辺を散歩していたら、河原の大きな石の上、その平らな部分でこじゅろさんが丸くなって日向ぼっこしているところに遭遇した。たらんと垂れたしっぽの先がぴくぴくしてるのは、夢でもみてるからなのかにゃ。
 俺様たち猫にとって、秋である今は換毛期。春と秋に二回来る、ちょっとうっとうしい抜け毛の季節だ。
 この換毛期の頃、こじゅろさんが丸くなると、もふもふになった毛の流れが変わって背中にある三日月模様がちょうどはぁとのような形になることがある。それがすっごくかわいくてらぶりーなのにゃ。俺様のお気に入りにゃ。だからこの時期は、丸くなったこじゅろさんを見つけると、その後ろ姿を眺めるのが俺様の日課なのにゃ。
 こじゅろさん本人(猫)には自分の背中が見えにゃいから、そんなふうに変化してることを知らにゃいかもしれないんだけどにゃ。


「おい、にゃすけ! なにひとのことじーっと見てやがる」
「にゃ!」
 ビックリしたにゃ!
 寝てるとばかり思っていたこじゅろさんが、薄目を開けて俺様のこと睨んでる。
 起こしちゃったのかにゃ。ごめんにゃ?


「そんにゃとこに居ねえでこっちまで上がって来い」
 そこはじき日陰になっちまうにゃ、そう言われたから、俺様みょんと軽く跳躍して、ぴょこん! とこじゅろさんの寝そべる岩の上へ着地した。
 しっぽをゆらゆら揺らしながら、みにゅっみにゅっとこじゅろさんに近付いていく。
「今日はいいお天気にゃ」
「にゃ(そうだな)」
「一緒にごろごろしても構わないかにゃ?」
「好きにするにゃ」
 別にこの場所が俺様だけのテリトリーってわけじゃねえからにゃ、そう言って、こじゅろさんは俺様のために少し身体を脇にずらしてスペースをあけてくれた。
 俺様はいそいそとその余地に寝そべる。
「にゃすけ、もっとこっちに寄るにゃ。その方があったかいにゃ」
 言われてぴたりと身体を添わせ、こじゅろさんの背中のはぁとに頭をすりつける。気持ちいいにゃ。


 猫は寝るのがお仕事にゃ。
 日が陰るまでふたりでお昼寝するにゃ。
 俺様しあわせにゃ。






おしまいだにゃ! 2010.10.15 ヨシウミ